Take2
take2
登場人物:二名
《役者》役 | 武本拓也 |
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《監督》役 | 百瀬文 |
《役者》は牢屋の中におり、牢屋に捕われた哀れな男性を演じている。
彼が演じている役は「1週間くらい牢獄に理不尽な理由で監禁されている20代くらい」の若い男性であり、「気性が荒く情緒不安定」な性格である。
《監督》も同じく20代の女性であり、今回「take2」という作品を撮るために《役者》に協力してもらっている。
この映像作品は「ドラマ」と「現実1」「現実2」「現実3」「現実4」の反復によって出来ている。
《役者》がドラマを演じている途中で「カット!」の声とともにカチンコが鳴り、《役者》の身体は急に現実の時間に引き戻される事になる。
そこに「現実1、2、3…」とレイヤーを設け、タマネギの皮を剥くように、次のあたらしい現実のレイヤーへと移行する。
図のように、この最小単位を【「ドラマ+現実1」】とする。このカタマリを仮にAと呼ぶ。A(一回目)A(二回目)まで繰り返すところは前回と一緒だが、次に来るのは『ドラマ+現実2』である。
[「ドラマ+現実1」+「ドラマ+現実1」+『ドラマ+現実2』]というこのカタマリをBと呼ぶ。
自分たちが把握していた現実も、また大きな物語に過ぎなかったと、A、B、C…と物語の外側にどんどん新たな現実が増幅していく。
全て反復の「3」回目が、次の現実に移行するタイミングとなる。
現実1、2、3では、それぞれ《役者》と《監督》という人間の関係性も変化している。
現実1では《監督》が《役者》を叱りつけていたのが、現実3では《役者》にヘコヘコと媚びへつらうなど、立場が反転する。
《役者》の身体はこの異常な時間の中で当然疲弊する。そのような肉体的なノイズ(息切れ、声のかすれ)などはむしろ積極的に受け入れる。